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LGBTQ+の職場でのカミングアウトは5人に1人

理解促進など職場環境整備に取り組んでいる企業は3割に止まる

June 28, 2022

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.(本社:東京都港区、日本社長:吉本浩之、以下、アメリカン・エキスプレス)は、プライド月間を締めくくるセミナーとして、2022年6月24日(金)に、LGBTQ+のキャリアとビジネスへのインパクト」と題したメディア向けセミナーを開催しました。同月に実施した最新調査「企業とLGBTQ+のキャリア」の結果からは、LGBTQ+の職場でのカミングアウトが5人に1人となり、就職活動時に性的指向・性自認に関する質問を受けた人の割合が15%に達するなど、LGBTQ+の採用、就職、定着、昇進、離職などのキャリア形成の各段階での課題と、人的資本が重要な時代において企業の対応がどこまで進んでいるのかが明らかになりました。

 

アメリカン・エキスプレス加盟店事業部門マーケティング アジア太平洋地域副社長であり、LGBTQ+の当事者とそのアライで結成する「PRIDE+ネットワーク」エグゼクティブ・スポンサーの津釜宜祥(つがま・のりよし)は、「企業が社会的責任を果たし、企業価値を高めていくうえでLGBTQ+を含む多様な人材が働きやすく、心理的安全性の高い職場環境を整えることが重要です。」と述べ、そのうえで企業で多様な人材におけるロールモデルを作ることの大切さを語りました。

 

同セミナーでは、津釜に加えて、ジェンダー・スペシャリストで関西学院大学客員教授の大崎麻子氏がモデレーターを務め、ジェンダー平等など社会課題の解決に取り組む、株式会社TIEWA代表取締役CEOの合田文氏がパネリストとして登壇しました。

<会場の様子>

アメリカン・エキスプレス加盟店事業部門マーケティングアジア太平洋地域 副社長  津釜宜祥

 

主要な調査結果:

  1. 職場においてカミングアウトしている人は全体で5人に1人の20%。Z世代の約半数が、「職場でカミングアウトしていなくても自分らしく生きることは可能である」と回答
  2. 就職活動時に性的指向・性自認に関する質問を受けた人のうち59%が不当な扱い
  3. 回答者の4%が、職場では「LGBTQ+に対応した具体的な施策」が「無い」と回答
  4. 上司やチームリーダーがカミングアウトしてロールモデルとなっている場合、キャリア相談に積極性が出てくる

 

  1. 職場においてカミングアウトしている人は全体で5人に1人の20%。Z世代の約半数が、「職場でカミングアウトしていなくても自分らしく生きることは可能である」と回答

モデレーターの大崎氏は、「年代別に見ると、ミレニアル世代やZ世代など、若い世代になればなるほど、仕事以上の関係性を同僚や上司と構築することへの抵抗感のあることがうかがわれ、LGBTQ+に限らず、個人としての自分と会社での自分を切り分ける傾向が見られます」と調査結果を分析。合田氏は、「Z世代はソーシャルでつながりやすい世代で、職場をメインのコミュニティと捉えていない人が多いのかもしれません。身近な課題が、社会構造を変化させることで”変わっていくこと”だと感じにくいという世代的特徴が表れた結果となっています」と若年層世代の帰属意識の変化も背景にある可能性を指摘しました。

ジェンダー・スペシャリスト、 関西学院大学客員教授

大崎麻子氏

ジェンダー平等など社会課題の解決に取り組む、

株式会社TIEWA代表取締役CEO 合田文氏

 

2.就職活動時に性的指向・性自認に関する質問を受けた人のうち59%が不当な扱い

就職活動時に性的指向・性自認に関する質問を受けた人は15%に上り、そのうちの59%の人が不当な待遇を受けたと回答しました。大崎氏は「正直に答えたことにより不当な扱いを受けた人たちがこれだけいることに驚いた」と指摘。性的指向・性自認に関する質問が投げかけられたことについて、合田氏は「結婚の予定を聞かれて、そこから性的指向・性自認に関する回答を強要するような質問は明らかなハラスメント。服装などからマイクロアグレッション(注)の声がけなどもありうる」と警鐘を鳴らした。また、津釜は「アンコンシャスバイアスを認識したうえで、企業は多様性に配慮した質問をしなければいけない」と言及しました。  

(注)マイクロアグレッション(英語: Microaggression)- 差別や傷つける意図は無いが、日常の中の言動に現れる見下しや偏見、ステレオタイプによって、無自覚に相手を傷つける言動や行動

3.回答者の65.4%が、職場では「LGBTQ+に対応した具体的な施策」が「無い」と回答

LGBTQ+に対応した施策、研修、ガイドライン、相談窓口、アライシップの推進が日本のビジネス社会では浸透していない実態について、大崎氏は、「職場においても教育研修を継続することへの賛意が高く表れていました。LGBTQ+が必要としている環境はまさにエクイティ&インクルージョンであり、ロールモデル形成も含めビジネスコミュニティが先導役を果たすチャンスです」と指摘。

津釜は、「アメリカン・エキスプレスでは、LGBTQ+にとって心理的安全性の高い職場を実現するために、「PRIDE+ネットワーク」という社内横断的な取り組みによる心理的安全性を担保するためのコミュニティ形成を進めています。アライシッププログラム、セルフID(LGBTQ+に限らず、自身のマイノリティのアイデンティティを人事システムに登録し従業員の分布を把握することで、企業として目に見えない課題を可視化し、様々な人事施策に活用)、社内の“Sense of belonging(帰属意識)”に関する社内アンケートなど、職場での居心地の良さを形成する制度を実施しています」と取り組みを紹介しました。合田氏は、「自分もバイアスを持った一人の人間である、と捉えて考え方を変えていくのが大切だと思います。その意味で、研修の内容とスタート時期は重要だと考えます」と早期からの継続的な教育の重要性を指摘しました。

 

4上司やチームリーダーがカミングアウトしてロールモデルとなっている場合、キャリア相談に積極性が出てくる

津釜は、「経営者はもちろんですが、自身がキャリアパスを描けるような身近な上司やチームリーダーなどのロールモデルが重要なのがこの調査で見えました。LGBTQ+の権利については、民間セクターにおいて、ロールモデルを形成していくことが重要だと思います。また企業がインクルージョンについての影響力を発揮する点も大事だと考えています。取り組みが遅れることで、海外からの多様な人材が日本に来なくなるなど、企業にとっても大きな成長の機会を逃してしまうことになりかねません」と述べ、企業が社会に対してインクルージョンを前進させる責任を積極的に果たす必要性を強調しました。

(上図のヒートマップチャートで、「上司」「チームリーダー」が特に目立っている)

 

 

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